【映画】シリーズ全出演時間31分、ドラコ・マルフォイの未採用場面を供養したい【ハリー・ポッターと謎のプリンス】

ドラコ・マルフォイは、「ハリー・ポッター」シリーズに登場するプラチナブロンドの魔法使い。主人公のハリーに何かと嫌味をぶつける敵役にも関わらず、日本で異常なほどの人気を誇るキャラクターです。

数年ほど前、ネット上でこのマルフォイについての衝撃的な事実が話題となりました。

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あれほどのインパクトのあるキャラクターの出演時間が、映画8本(約1,000分)のうちたったの31分(約3%)。数えきれないほどの登場人物がいる中で、脇役としては充分映っているほうであると言われてしまえばそれまでですが、それにしても驚きです。

そもそも、あの分厚い本1~2冊を約2時間にまとめている時点でかなりのシーンが削られています。全作中のマルフォイ登場場面の中で個人的に一番好きなシーンは6作目「ハリー・ポッターと謎のプリンス」の中盤にあるのですが、本では具体的に描かれていた部分が映画では大幅に短縮されており、かなりのショックを受けたことを今でも覚えています。

折角の機会なので、残念ながら映画化の際に未採用となったお気に入りの場面(と個人的な長年の執念)を、今ここで供養させていただきたい。

第24章「セクタムセンプラ」より

そのときハリーは気がついた。あまりの衝撃で、ハリーはその場に根が生えてしまったような気がした。マルフォイが泣いている――本当に泣いている――涙が蒼白い頬を伝って、垢じみた洗面台に流れ落ちていた。マルフォイは喘ぎ、ぐっと涙をこらえて身震いし、顔を上げてひび割れた鏡を覗いた。そして、肩越しにハリーが自分を見つめているのに気づいた。

「ハリーポッターと謎のプリンス」第24章より

マルフォイが泣いている

マルフォイは意地悪な性格ではありますが、根っからの悪人ではありません。そのことが最も具体的に描かれているのが6作目「謎のプリンス」です。悪の総大将であるヴォルデモートから自身の身の丈と良心を明らかに超えた指令を受け、本作の冒頭からずっと誰にも言えない悩みと苦しみを抱えていたマルフォイ。その心の痛みがついに限界を迎え、トイレで泣いているシーンがこの引用部分です。

シリーズ1作目からずっと傲慢な振る舞いをしてきたマルフォイが、ここに来て(読者に)弱さと良心を見せるという意味でとても印象的な場面ですが、「マルフォイが泣いている」という衝撃に加え、以下の2つのポイントがこのシーンをより情緒的なものにしていると思います。

誰にも相談できなかった

ヴォルデモートから指令と共に脅迫を受け、追い詰められていたマルフォイ。引用部分の直前で、「僕にはできない」と本音を打ち明けることができた相手は、トイレに棲む幽霊・嘆きのマートルでした。内容が内容なので、生きている人間には相談することすら危ういのですが、そのことを踏まえても、頼れる人間がいない状況であることがとても切ない。

ハリーだけが見ている

その様子を、遠くから無言で見つめているハリー。ハリーにとってマルフォイは、1年生の頃からの因縁の相手であり、本作では事件が起こるたびに疑いをかけてきた相手でもあります。その相手の弱みを初めて目の当たりにし、その場から動けないほどの衝撃を受けています。

マルフォイの立場からすると、同じく因縁の相手でありながら、自分とは違い頼れる仲間がいるハリーにだけは見せたくない姿だと思いますが、不運にもその相手に見られてしまっている。

映画版での描かれ方

タイムコードでは1:38:00から1:38:30。

書籍ではマルフォイがトイレで嘆きのマートルに本音を打ち明ける→その場面に(忍びの地図を見て)ハリーが偶然居合わせる→マルフォイが泣き、鏡越しにハリーを見つける→マルフォイが先に攻撃を仕掛ける、の流れです。

一方、映画版では、ハリーが不審な様子のマルフォイの後をつける→マルフォイがトイレの鏡の前で項垂れ、一瞬泣き声をあげる→ハリーが即座に声を上げ問い詰める、という流れになっています。

シーンが丸ごとカットされている訳ではありませんが、「マルフォイが泣いている」ことの重大さを視聴者が理解するよりも早くハリーから声をかけてしまうことに加え、先ほど挙げた2つのポイント(マルフォイが弱みを口に出すことと、ハリーがマルフォイの涙を見て衝撃を受けること)が採用されていません。

個人的に納得がいかなかった理由はこの点だと思います。残念ではありますが、積年の不満を言語化できて少しすっきりしました。

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※記事掲載時点(R4.9.10)の情報のためご注意ください。

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また、日本語版書籍は現在、1作目から7作目までがすべてKindle Unlimitedの読み放題対象(※)となっています。最初の数巻だけではなく全部読めるのは凄い。電子書籍の便利な部分の1つに検索機能がありますが、本作のような超大作の場合はどこにどの場面があったのかを忘れがちなので、好きなキャラクター名などで検索できるのはとても便利です。「ドラコ」で検索すると楽しい。

ちなみに同じ絵柄の表紙の英語版(US版)も対象です。好きなシーンを読み比べるのも楽しい。

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