ひとりクローズドサークル

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【女の園の星】鳥井さんの「見ているだけで幸せ」な星先生観察日記を定期購読したい【和山やま】

「女の園の星」という漫画が好きです。

女子高にて教鞭をとる星先生(33歳)が主人公の物語ですが、全体的に何とも形容しがたいシュールな世界観が漂っており、細かい描写やセリフがいちいちツボにはまってしまい(良い意味で)外出先では読まないほうがいい作品です。

個性溢れる生徒たちや2巻の表紙にもなっている同僚の小林先生など、星先生を取り巻く人々も魅力的です。このようなタイプの作品に触れる際、個人的には登場人物の誰か1人にクローズアップすると書きやすいので、好きなキャラクターを紹介します。

星先生の担任する2年4組の生徒である鳥井さん。最新刊である3巻の表紙に描かれている女子高生です。

星先生の観察日記

鳥井毬子、高校2年生。1巻の5時間目に登場します。年の割にやや大人びた雰囲気を持っている鳥井さんのライフワークは、日々星先生を観察し、その内容を日記としてノートに綴ること。

1日分の内容としては、その日に印象深かった星先生の言動を淡々と記し、最後に鳥井さんによる突っ込みで締められています。気になったことについて小林先生へ尋ねた結果を点線を引いた下に記載してある日もあり、星先生情報が満載でとても読みごたえがあります。観察対象である星先生を一貫してドライに描写しているところがいいなと思いますが、それにしても興味のない小林先生への当たりが強すぎる。

あくまで観察対象

観察日記のことについて、鳥井さんはクラスメイトにこう語っています。

(「人生他にすることないの?」「星先生のこと好きなの?」)

「そんなんじゃないの 意味なんてない」「最初はただの暇つぶしで始めてみたんだけど 星先生の良いところも悪いところも見えていくうちにどんどん研究したくなっちゃって…」

和山やま「女の園の星」1巻5時間目

人によっては理解しがたい感情らしいですが、この世には「見ているだけで幸せ」という種類の「好き」があります。「星先生のこと好きなの?」と聞いたクラスメイトは、恐らく恋愛感情の「好き」なのかと尋ねているのだと思いますが、決してそうではありません。当然のことですが、興味のない人を観察するのは矛盾していますし、不快に思う人を毎日観察するのは苦痛でしかないので、少なくとも人間として多少興味のあった星先生を観察していたら思いの外楽しくなってしまった、という感じかと思います。

付き合いたいわけでも、友達になりたいわけでもない。関係性の進展を望まない「好き」もあります。芸能人に対する、いわゆるガチ恋とは違うタイプの「好き」もこれと似たようなものですし、一般人に対してもこのような「好き」はあります。

この後、日記を定期購読したいと言うクラスメイトから鳥井さんがお金を取ろうとしたところ「金払って読むほどではない」と一蹴されてしまいますが、私は読みたい。

本人バレ

※説明の都合上、時系列が前後しています。

そんな鳥井さんですが、観察日記として使用していたノートを誤って星先生に提出するという痛恨のミスで本人に日記を読まれてしまいます。事故とはいえ、一般人を相手とする以上これは絶対にあってはならない事態。

星先生は(当然ながら)やや引きつつも、日記のことには触れずに鳥井さんへノートを返します。鳥井さんがノートを開くと星先生の感想としてはんこが1つ。星先生のあっさりしつつも決して無視はしていないギリギリラインの淡白な対応、満点です。

「星先生ニッキャー」としての誇り

「今この学校で一番星先生に詳しいのは間違いなくこの私だわ」

和山やま「女の園の星」1巻5時間目

星先生ニッキャーとしての自負を感じます。一見、このセリフには驕りを感じるかもしれませんが、ひょんなことから星先生の誕生日を知り、そのことを綴った日記には鳥井さんの謙虚な人柄が溢れており、とても好感が持てます。

『星先生のことなら学校イチ詳しいと豪語していた己を恥じた。誕生日さえ知らなかったんだもの。』

和山やま「女の園の星」1巻5時間目

この後、鳥井さんは星先生ニッキャーとしての誇りをかけて誕生日を祝おうとするのですが……続きはぜひ本編でご確認ください

鳥井さんと小林先生の攻防

最後の山場として、星先生不在の職員室で、鳥井さんと小林先生の静かな攻防があります。星先生ニッキャーを自称していますが、あくまで観察しているだけの鳥井さん。しかし小林先生は星先生と年の近い同僚で、職員室では隣同士。よく話をして飲みにも行き、口数の少ない星先生のプライベート情報をそれなりに知っています。今この学校で一番星先生に詳しいのは、恐らく小林先生です。お互いがこの事実をそれとなく察し、小林先生に若干煽られつつも、それでも己の言動を反省しながら颯爽と去りゆく鳥井さんの姿がかっこいい。

鳥井さんには、これからも「星先生ニッキャー」としての活動を続けてほしいです。

お金なら払うので、定期購読を始めたら是非教えてください

 

↓ twitterで見た「友達になってくれませんか」が素敵すぎて片っ端から作品を読んだ

↓ 気持ちが和む漫画として挙げました

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