ひとりクローズドサークル

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【その「おこだわり」、俺にもくれよ!!】 退屈な日常生活を送るあなたにも、きっと「おこだわり」がある【清野とおる】

突然ですが、あなたには語り尽くせるほど好きなものがありますか?

そこまでオタク気質じゃないよ、という方も少なくないと思います。

それでは、コンビニでいつも選んでしまうあの商品、切らすことなく買い置きしている日用品、何故か辞められないルーティンは……ありますよね?

それこそがあなたの「おこだわり」です。 

清野とおるさんの漫画『その「おこだわり」、俺にもくれよ!!』(全5巻)は、強烈な日常生活のこだわりを熱く語る「おこだわり人」と、強烈な突っ込みを入れながらその話を聞く作者の清野さんの攻防が楽しめる一話完結型の作品です。

「おこだわり人」とは

「つまらない日常生活の中で別にこだわらなくてもいい事に敢えてこだわり そこに自分だけの幸せを見出しコソコソと楽しんでいる輩」

清野とおる「その『おこだわり』、俺にもくれよ!!」1巻

作者の清野さんは、1巻の冒頭で「おこだわり人」をこのように定義しています。確かに、作品内に登場する「おこだわり人」のこだわりは、他の人にとっては何の価値もないような些細なことです。しかし、つまらない日常生活の中に自分だけの「おこだわり」を見つけることで、人生を楽しんでいる。そんな「おこだわり人」の個性的すぎる生き方には、見習うべきところが沢山あります。

聞き手としての清野さん

「おこだわり人」のこだわりを、聞き手として受け止める清野さん。強めの合いの手を入れてはいますが、1人1人のこだわりを尊重しつつ、最後に必ずその「おこだわり」を実践してみる場面が登場する所が好きです。

また、当作に限らず著書全般について言えることですが、決して社交的な性格ではない清野さんの、一風変わった人の懐に入るスキルの高さも見どころです。

↑ 気遣いと戦略の塊。

個人的に気になる「おこだわり人」たち

帰る男(1巻)

「清野さんは帰れるという事を当たり前だと思ってはいませんか?」

清野とおる「その『おこだわり』、俺にもくれよ!!」1巻

最寄駅から自宅までの約1kmの道のりを全力で楽しみながら帰宅する「おこだわり人」です。小学生の頃は誰しもが、石ころを蹴りつつ、横断歩道の白い部分だけを踏みつつ下校していたかと思いますが、その大人版です。

土日、人に会わぬ男(2巻)

「別に人が嫌いだから人に会わない訳じゃないんですよね」

清野とおる「その『おこだわり』、俺にもくれよ!!」2巻

誰とも会わない土日を楽しむ「おこだわり人」です。彼女からの電話を投げ捨てるところに強すぎる意志を感じる。清野さんの必殺・銘柄責めにより、テレビ番組の名前からジャムの商品名まで、細かいディティールが伝わるところも好きです。

フックの男(3巻)

「フックの最もすごいところって『三次元』にモノを掛けられるところだと思うんです」

清野とおる「その『おこだわり』、俺にもくれよ!!」3巻

100均のフックとの出会いをきっかけに、カバン掛け用のフック(クリッパ)を愛用するようになった「おこだわり人」です。フック1つで宙にカバン置き場を作るという発想はなかった。

粗大ゴミの男(4巻)

「あの持って行ってもらえた時の…口約束を守ってもらえた時のカイカンが忘れられなくて 粗大ゴミを捨てる時は必ず区を利用するようになりましたよ」

清野とおる「その『おこだわり』、俺にもくれよ!!」4巻

東京都北区の粗大ゴミ回収サービスのリピーターである「おこだわり人」です。外で待機し収集の瞬間を見届けようとしたり、収集員さんへメッセージカードを書いたりと、感謝の気持ちが溢れすぎてとても健気です。

脱皮する男(5巻)

「脱皮したてのヘビのような気分を味わえて タノシイですよ」

清野とおる「その『おこだわり』、俺にもくれよ!!」5巻

年明けと共に、すべての下着類とタオルを新調する「おこだわり人」です。新調のタイミングを1月1日とし、大掃除や年越しの儀式も兼ねているところがとても合理的

 

↓ 清野とおるさんの代表作「東京都北区赤羽」強烈です。増補改訂版は全4冊。

↓ こちらは続編。全6冊です。勢いが止まらない。