ひとりクローズドサークル

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【BAD LANDS】映画「バッド・ランズ」ジョーという名の疫病神【感想】

映画「BAD LANDS」を見た個人の感想です。

※以下、結末は明示していませんが、作品の内容に触れているためご注意ください。

姉弟の愛と絆に満ち溢れた物語……ではなかった

姉・ネリの境遇

安藤サクラさん演じる姉のネリはとても強くて賢い女性だが、ろくでもない周囲の男性たちに翻弄された結果、悪環境からなかなか這い上がれずにいる。

ネリを翻弄してきた「周囲の男性」は4人。①実父(高城)②継父(弟の実父)③胡屋(実業家) 、そして④血の繋がらない弟・ジョーこと矢代穣である。

姉のことが大好きな弟・ジョー

山田涼介さん演じる弟のジョー。姉であるネリのことが大好きで、無邪気な笑顔で「ネリ姉、ネリ姉」と擦り寄ってくる可愛い弟だが、やや短絡的すぎる性格で、一瞬目を離した隙に数百万の借金を作るし、人も殺す。

演者のファンなのでどうしてもジョーのことが可愛らしく思えてしまい、それゆえ結末にもぐっと来るものがあったが、視点を変えてみるとその評価は一変する。

ネリの視点で物語を見る

ネリの目線から見たジョーは、決して「可愛い弟」ではなく「腐れ縁の疫病神」程度のものだと思う。15歳と13歳の頃にある出来事を共有したことにより運命共同体のようになってしまった弟だが、放っておくと何をしでかすか分からない。必然的に尻拭いをする羽目になるため、ネリの人生にとってはただの足枷でしかない。

今まで散々周囲の男性たちに翻弄されてきたネリが、最後に誰を信用し、どのような生き方を選ぶのか。開放感に満ち溢れたラストシーンが最高です。

ジョーの笑顔に騙されるな

冷静なネリと比べて、感情が表に出やすいジョー。ネリ姉に向けるかわいい笑顔は本物で、嘘偽りのない気持ちであることは間違いない。しかし、どんなに可愛くても、家族であっても、決して情をかけてはいけない場合がある、ということなのかもしれない。

ただ、それでもやっぱりジョーは可愛い。

暫く映画館通いが辞められそうにない。