ひとりクローズドサークル

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「ミステリ作家たちの横顔展」を見るため、知らない街の図書館を訪れた話

12月某日、名古屋市郊外にある志段味図書館を訪れた。私はこの街とは一切の縁がなく、またこの図書館は観光地化しているような大規模なものでもなく、周辺にお住まいの方々が利用するごく一般的な公共施設である。

この「ミステリ作家たちの横顔展」は1年ほど前から全国各地を巡回しているのだが、遠方での開催が多く、機会に恵まれなかった。そんな中、名古屋での開催期間中にナゴヤドームへ行く用事があり、更にドームの最寄駅から乗り換えなしで行くことができることを知り、思いがけず知らない街を訪ねてみることになった。

「ゆとりーとライン」とは

ナゴヤドーム前矢田駅から図書館の最寄駅である上島(東)駅までは、「ゆとりーとライン」という名古屋ガイドウェイバスの路線を利用した。

www.guideway.co.jp

ガイドウェイバスとは線路のような軌道を普通のバスの車体が走る形の輸送システムであり、日本ではこのゆとりーとラインが唯一の路線とのこと。

また、ゆとりーとラインは高架を走る区間と一般道を走る平面区間を併用している。ドーム周辺は高架区間。モノレールのような駅と軌道だが、やってくるのは普通のバス。しかし軌道上を普段ではありえない速度で走るため、何だか愉快だった。ただ、周囲の乗客にとってはこれが日常。浮かれていたのは自分だけのようだ。

10分ほど走ると、高速道路を降りる時のように一般道へと緩やかに着地し、そのまま通常の路線バスとしての運行に切り替わった。信号で足止めされつつ、更に10分ほど走り、目的地へと到着。図書館はバス停のすぐ目の前にある。

名古屋市志段味図書館

帰り道に撮影した怪しい写真しか無かった。中央やや左の建物。

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館内にお邪魔してみると、子供数人が前を横切る。中高生が自習するような雰囲気というよりかは、児童書目当ての親子連れが多い気がした。そんな「地元の図書館」に、とても豪華な顔ぶれの先生方の手書き文字が並んでいるのが面白い。階段の踊り場から、2階ロビーにかけて展示されている。2階の部屋では何か催し物があるらしく、ロビーは貸し切り状態だった。

残念ながら撮影不可のため、穴が開かない程度に目に焼き付けてきた。

ミステリ作家たちの横顔展

実際に見た「落書き」をいくつか挙げます。記憶だけが頼りのため全く違うことを書いていたら申し訳ありません。

有栖川先生の「落書き」

有栖川有栖先生の展示物は、14歳の頃に書いた小説に登場する事件現場の見取り図。少年時代の自作を解説する有栖川先生のコメントにも心が和む。『やけた線路の上の死体』と同じ、南紀白浜が舞台とのこと。

綾辻先生の「落書き」

綾辻行人先生の展示物は『人間じゃない』の制作ノート。シンプルなメモの中央に描かれた、血を噴き出している棒人間のイラストが忘れられない。

青崎先生の「落書き」

青崎有吾先生の展示物は『アンデッドガール・マーダーファルス3』のイラスト。とても緻密で繊細な、絵本の挿絵のような一枚の絵が描かれていて驚いた。

北原先生の「落書き」

北原尚彦先生の展示物は古書の購入リスト。小さめのノートにかなり細かく本のタイトルが書き込まれていて、古書への愛とお人柄が伝わってくる。

喜国先生の「落書き」

喜国雅彦先生の展示物は『魔Qケン』の手書き原稿。ペン入れ前の下書きも赤い線で書き込まれていた。印刷だとなかなか味わえない手書きならではの迫力を間近で感じることが出来て嬉しい。

スペースに限りがあるので仕方がないが、前半組の展示しか見られなかったことだけが心残りだった。もし近くにお住まいの方がいれば、私の代わりに後半組の展示を是非見てください。

 

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