ひとりクローズドサークル

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【2022年11月】kindle unlimited で読める本格ミステリをまとめる【おすすめ】

Amazonの本のサブスクでお馴染みのKindle unlimited。月額料金を支払うことで、対象書籍が読み放題となります。定価は月額980円ですが、かなりの頻度で「3か月99円」などの価格崩壊セールを実施しています。

対象書籍のラインナップは定期的に変わるのですが、先日久々に確認したところ、講談社文庫の本格ミステリが山のように並んでいたため、他社のおすすめも併せて紹介します。

なお、最新の情報を掲載するよう努めますが、突然サービス対象外となった場合についてはご容赦ください。

まずは今回の目玉・講談社文庫から10冊。

法月綸太郎の冒険 (法月綸太郎)

短編集。冒頭の「死刑囚パズル」が好きで好きでたまらない。①読者が論理的に解ける謎 ②個性的な探偵 ③関係者全員集めて謎解き ④意外な犯人、という本格ミステリの良さが全て詰まった宝石箱のような作品。

綸太郎と穂波の名コンビが微笑ましい図書館シリーズ4編も必見。

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法月綸太郎の新冒険 (法月綸太郎)

引き続き名探偵・法月綸太郎を主人公とした短編集。綸太郎と穂波の愉快な(?)信州旅行の様子と、道中で遭遇した心中事件の真相解明が楽しめる、一粒で二度美味しい鉄道ミステリ「背信の交点」がおすすめ。

 

法月綸太郎の功績 (法月綸太郎)

都市伝説に見立てられた大学生の殺人事件を、綸太郎が父・法月警視と自宅でディスカッションしながら論理的に解き明かす「都市伝説パズル」が大好きです。謎解きが鮮やかで美しい。

この短編集の中では「縊心伝心」も、同じく自宅での安楽椅子探偵スタイルの作品です。父と子のやりとりが微笑ましい。

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密室殺人ゲーム王手飛車取り (歌野晶午)

インターネット上に集まった5人が、1人ずつ順番に現実社会で殺人事件を起こし、その真相をクイズとして他の4人に出題する『密室殺人ゲーム』をテーマとした連作短編集。癖のある個々の事件と個性的なメンバー5人が面白く、ページを捲る手が止まらなくなりますが、最後には「互いの顔が見えないこと」を逆手に取った想定外の結末が待っています。

 

密室殺人ゲーム2.0 (歌野晶午)

前作のネタバレとなるため説明が非常に難しいのですが、前回同様『密室殺人ゲーム』がテーマの連作短編集。個人的には犯人役のメンバーが鬼畜すぎる「相当な悪魔」が後味の悪さも含めて印象的です。

 

殺戮にいたる病 (我孫子武丸)

〇〇トリックの名作。綺麗に騙される。約30年前の作品であるため、主人公の描写に時代を感じる箇所もあるが、それがかえって違和感を見過ごしてしまう結果になるのかもしれない。色々な意味でグロテスクな描写が多く、人に勧めにくいことが最大の難点

 

ハサミ男 (殊能将之)

同じく〇〇トリックの名作。語り手である「ハサミ男」の自分語りと、周囲の人間が「ハサミ男」に向ける目線との間にある違和感に気が付くと、仕掛けを見破りやすいかもしれない。綺麗に騙されても、うすうす勘づいていたとしても、読了後にもう一度読み返したくなる作品。

 

解体諸因 (西澤保彦)

その名の通り『(人体の)解体の理由』をテーマとした短編集。解体されるのは死体だけではなく、ぬいぐるみや宣伝ポスターなどもあり、バリエーション豊富で面白い。時系列通りに並んでいないため少々分かりにくいが、探偵役である匠千暁(タック)が全編通して登場する。タックや「解体守護」に登場するタカチはなかなか奥が深いキャラクターなので、気になった方はシリーズの他作品もおすすめです。

 

すべてがFになる (森博嗣)

犀川創平を探偵役とするS&Mシリーズの第1作目。森博嗣ワールドの入り口とも言える1冊。密室での人間消失がメインの謎だが、初読時の衝撃が未だに忘れられない。犯人もトリックもスケールが大きすぎて、良い意味で凡人には理解が追いつかない。このシリーズと同じ世界線で幾つかのシリーズが展開されているが、個人的には瀬在丸紅子が探偵役となるVシリーズが好き。なお、Vシリーズは必ずS&Mシリーズの後に読んでください。

 

その可能性はすでに考えた (井上真偽)

シリーズ1作目。奇跡の証明に挑む青髪の探偵・上苙丞(うえおろじょう)と、その債権者で物語の語り手である中国人美女フーリンの掛け合いが面白い。上苙は犯人を突き止めるためではなく、人間による犯行が不可能=奇跡であることを証明するために論理を展開していく、唯一無二の探偵。畳みかけるように推理がひっくり返されていく展開に圧倒される。

 

聖女の毒杯 (井上真偽)

探偵・上苙丞のシリーズ2作目。物語の前半はある名家の婚礼で発生した毒殺事件の顛末が語られ、後半は場面が一転、フーリンが窮地に立たされ、自分が毒殺事件一枚噛んでいたことを(愛犬が毒殺事件に巻き込まれた)組織のボスに知られることなく事件を解決せざるを得なくなります。代わる代わる役者が登場し、論理的に事件を解決しようとしますが、中でもフーリンと昔の仕事仲間であるリーシーが阿吽の呼吸を見せるシーンが好き。会場入りを妨害された上苙の参加は終盤となるが、探偵が登場するとやはり安心感がある。

 

ここからはおまけとして、他社から2冊。

体育館の殺人 (青崎有吾)

別記事にも書きましたが、あまりにも好きすぎるため再掲。

高校生探偵・裏染天馬シリーズの第1作目。学校で殺人事件が発生し、探偵役の裏染が推理を巡らせ、終盤に読者への挑戦が入り、ラストは関係者を一堂に集めて謎解きをするという本格ミステリの様式美、大好きです。体育館内のトイレに置かれた黒い傘1本から展開していくロジックも美しい。

1冊読んで好みに合えば、読み放題の対象外ではありますが、長編があと2作、短編集が1冊あるのでそちらもおすすめです。

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狩人の悪夢 (有栖川有栖)

犯罪社会学者・火村英生を探偵役とした「作家アリス」シリーズの1冊。事件発生時に現場となった集落が倒木により閉ざされたことから、犯人を論理的に導き出す過程が面白い。作者である有栖川先生の作品は全て読んでいますが、今回の犯人は珍しく嫌な感じがしたことも印象的。

また、最終盤にてシリーズお馴染みのある登場人物が人生の大きな転機を迎えます。シリーズをずっと追ってきた者としては、自分のことのように嬉しい。

 

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