家に居ながら目に留まった本を取っ替え引っ替え出来る、電子書籍の図書館のようなサービス「Kindle Unlimited」を愛用しています。
ここでは、サービスを利用している方が期限内に1冊でも多くの本と出会えるよう、個人的なおすすめ書籍をひたすら羅列していきます。対象書籍、探すの面倒ですからね。
なお、おすすめする書籍は2023年6月4日時点でkindle unlimitedの対象であったものを掲載しています。月の途中で突然対象外となった場合についてはご容赦ください。
ジャンルにかなり偏りがありますが、来月以降に期待したい。
kindle unlimitedとは
Amazonの電子書籍のサブスク Kindle Unlimited。月額料金を支払うことで、対象書籍が読み放題となります。定価は月額980円ですが、かなりの頻度で「3か月99円」などの価格崩壊セールを実施している。
今月のおすすめ書籍
本格ミステリ(13冊)
【長編】高校生探偵・裏染天馬シリーズの第1作目。学校で殺人事件が発生し、探偵役の裏染が推理を巡らせ、終盤に読者への挑戦が入り、ラストは関係者を一堂に集めて謎解きをするという本格ミステリお決まりの展開が大好きです。体育館内のトイレに置かれた黒い傘1本から展開していくロジックも美しい。
【短編集】収録されている5編すべての結末に銘探偵・メルカトル鮎の利己的すぎる性格が滲み出ている。この探偵のことを知らない人に手渡したい、名刺代わりの1冊。「答えのない絵本」について、釈然としない場合は最後の作者あとがきまで読むと趣向が分かりやすい。相変わらず、メルに虐められっぱなしの助手・美袋くんがとても不憫。
【長編】シリーズ第1作目。奇跡の証明に挑む青髪の探偵・上苙丞(うえおろじょう)と、その債権者で物語の語り手である中国人美女フーリンの掛け合いが面白い。上苙は犯人を突き止めるためではなく、人間による犯行が不可能=奇跡であることを証明するために論理を展開していく、唯一無二の探偵。畳みかけるように推理がひっくり返されていく展開に圧倒される。
【長編】探偵・法月綸太郎シリーズの1冊。石膏像が首部分で切断され頭部が行方不明となった矢先に、その像のモデルも首のみの遺体となる。被害者の叔父と親交があり、被害者とも顔見知りであった綸太郎は、人間関係が複雑に絡み合った事件の真相を追う。ちなみに、綸太郎の情報屋(?)として度々現れる、よろずジャーナリストの飯田が本作で初登場する。
【長編】ある日唐突に「反復落とし穴」に入り、その1日を9周ループしてしまう体質を持つ主人公。しかし、とある反復落とし穴の最中に祖父が死亡してしまう。SF風だが明確なルールに基づく論理的な本格ミステリ。どのような手段で主人公が祖父の死を阻止するのかということに気を取られていると、ある仕掛けに騙されてしまう。
【長編】〇〇トリックの名作。綺麗に騙される。約30年前の作品であるため、主人公の描写に時代を感じる箇所もあるが、それがかえって違和感を見過ごしてしまう結果になるのかもしれない。色々な意味でグロテスクな描写が多く、人に勧めにくいことが最大の難点。
【長編】同じく〇〇トリックの名作。語り手である「ハサミ男」の自分語りと、周囲の人間が「ハサミ男」に向ける目線との間にある違和感に気が付くと、仕掛けを見破りやすいかもしれない。綺麗に騙されても、うすうす勘づいていたとしても、読了後にもう一度読み返したくなる作品。
【長編】犀川創平を探偵役とするS&Mシリーズの第1作目。森博嗣ワールドの入り口とも言える1冊。密室での人間消失がメインの謎だが、初読時の衝撃が未だに忘れられない。犯人もトリックもスケールが大きすぎて、良い意味で凡人には理解が追いつかない。なお、このシリーズと同じ世界線で幾つかのシリーズが展開されているが、個人的には瀬在丸紅子が探偵役となるVシリーズが好き。なお、Vシリーズは必ずS&Mシリーズの後に読んでください。
【長編】探偵・上木らいちのシリーズ第1作目。殺人事件の真相が判明すると同時に、タイトルの伏字(8文字のことわざが入る)が分かる。語り手である主人公が中盤で唐突にキャラ変することも大きな伏線。本格ミステリとしてとても面白く、また賢くてさっぱりとした性格のらいちも個人的に好きなキャラクターなのだが、人に勧めにくいことが最大の難点。
【長編】『新本格ミステリを識るための100冊』を見て気になっていた1冊。解決編である第4章で、読者は3回驚かされる。名作として高く評価されていることを踏まえながら読むと、1つ目の仕掛けには気がついてしまうかもしれない。ただ、そちらに気を取られることでさらに何度も騙される。
【短編集】人の話を聞くことが上手い、という特技を活かして「聴き屋」をしている芸大生・柏木が、周囲で起こる事件に巻き込まれる物語。人畜無害な主人公である柏木に加え、飄々とした友人の川瀬、お得意様である陰気な先輩など、濃すぎるキャラクターも魅力。探偵と助手のような川瀬と柏木を色眼鏡で見ている後輩・梅ちゃんが強烈な「泥棒たちの挽歌」が好き。
【長編】火村英生が探偵役となる「作家アリス」シリーズの1冊。火村の教え子である大学生・貴島朱美の周辺で起こった、2年前の事件と現在の事件を火村とアリスが追う。中盤で、朱美が火村と同じある悩みを抱えていることが判明するところにも注目。また、作中に何度も登場する「夕焼け」の描写が、妖しくそして美しい。
【短編】江神二郎が探偵役となる「学生アリス」シリーズ内で最も情緒的で美しい作品。英都大学推理小説研究会(EMC)の面々の元に、そのOBが相談を持ち掛けてきます。旧友の急病のため自宅を整理していたところ、学生時代にクラスメイトが地元の川で死体となった姿を映した写真が出てきた、と。相談者が悩みに悩んでいる一方、第三者の立場で話を聞いた、探偵役の江神さんやEMCの面々があっさりと謎を解くところも見どころ。
漫画・コミックエッセイ(17冊)
寡黙な熊とおしゃべりな鮭が街角で営む甘味処。お店を訪れた「泣きたい人々」に美味しい甘味を振る舞い、お腹と心を満たしてくれます。励ましの声を掛けてくれる鮭の優しさと、穏やかに見守る熊の暖かさに、読者もつい泣かされてしまう。
『泣きたい夜の甘味処』に登場した熊と鮭に加え、個性豊かなキャラクターが配達員として登場。登場する食べ物のジャンルも多岐にわたり、繊細で食欲をそそるイラストも添えられているため、夜中に読むとお腹が空いてしまう1冊。また、作中後半で、寡黙ながらいつも淡々と仕事をこなしていた熊にある転機が訪れる。一体何が起こったのか、そちらにも要注目。
妻に先立たれ、猫のタマと暮らす大吉じいちゃん。豊かな自然と鮮やかな四季に彩られた1人と1匹の島での暮らしが、繊細でやわらかなタッチのイラストで生き生きと描かれており、その瑞々しさに心が洗われたかのような読了感でした。亡くなったおばあちゃんとの若い頃のエピソードが特に好きです。椿の話がとても良かった。
山で仲良く暮らす、クマとたぬきの物語。互いの個性を尊重しつつ、他の動物達とも交流しながら過ごす1年が描かれています。剥製ごっこや敷物の真似がシュールで好き。また、クマの冬眠を見守りながら、春を楽しみに待つたぬきの様子がとても微笑ましい。
「オチがすごい」文豪の作品を集めて漫画化した1冊。すべての作品の結末に意外性があるため、毎度驚かされる。タイトルしか知らなかった作品が自分好みであったり、知っている作品が綺麗な絵の漫画で読めたり(「人間椅子」が良かった)するところも嬉しい。
百人一首の和歌の内容をわかりやすい漫画にした作品。合間に人間関係や当時の常識などの説明を編者の藤原定家が「ていかメモ」として紹介しているところが可愛いうえに勉強になる。そして巻末に100首分の超訳が付いているところも面白い。10代の頃に読みたかった。
『金田一少年の事件簿』の作者が描くもう1つの推理マンガ。kindle unlimitedで全巻読むことができます。探偵養成学校D.D.Sの「Qクラス」のメンバーが実際の殺人事件を解決しつつ、悪の組織「冥王星」へと立ち向かっていく話。孤立無援な探偵も多い中、この作品は5人の少年少女がそれぞれの長所を生かし、短所を補いながら切磋琢磨して悪と戦うところが魅力。
増補改訂版ではなく旧版が全巻対象書籍となっている。東京北部の玄関口である赤羽。ターミナル駅があり多くの人が集まるこの街、作中で描かれている2000年代後半は魔窟だったようです。その不条理さを追い求める作者の清野さんの奮闘も見どころ。
「東京都北区赤羽」は清野さんがよく知る街ですが、こちらは全っっっっっ然知らない街を描いた作品。名前すら知らなかった駅で降りて、手探りでその街の様子を探っていく様子が面白い。特に栃木県のおもちゃのまち駅や茨城県の長者ヶ浜潮騒はまなす公園前駅など、郊外の駅は「知らない街」の不安感をより強く感じる。
身近なごはんのエピソードが描かれた漫画。岩のりそばとゴボウ天の「かのや」や、タッチペンが斬新な「立ち飲み日高」、幻のファストフード「イート・ラン」など、どれも気になる。ちなみに、セブンイレブン男(続刊でも定期的に登場する)がお勧めしている海鮮お好み焼き、たまたま以前から知っていたが本当においしい。
作者である杉野さんがTwitterで公開していた短い将棋漫画をまとめた本。シュールすぎて笑いを堪えるのが大変。唐突に登場するとよぴーが面白い「歩美と桂介」や、駒たちの社畜ぶりが垣間見える「対局帰りの将棋の駒たち」が好き。
言わずと知れた国民的アニメ・クレヨンしんちゃん。アニメは子供向けのためマイルドになっているが、原作はかなりシュール。しんちゃんに振り回される周りの大人達が不憫すぎて、何度読んでも笑ってしまう。
一般的な「子育てマンガ」とは何かが違う。作者の華桜さんも、長男さんも、次男さんも、それぞれが強烈なキャラクターすぎでじわじわと笑いが込み上げてくる。この本には長男さんが高校を卒業し、東京へ旅立つ姿を見送る場面まで収録されていますが、華桜さんが最後に心でささやいたお礼の言葉がとても素敵。
続刊。前回の続きから、息子さん2人が東京へ就職した後の話まで描かれています。東京へ旅立った2人も、秋田で暮らす華桜さん(+夫さん)も相変わらず強烈。里帰りシーンが毎回嵐のようです。
昭和40年代、函館で家族と暮らす小学生のたんぽぽちゃん。料理上手な大人たち(母・祖母・叔母)やアレンジ上手な兄に囲まれ、郷土料理を美味しく食べながら毎日を過ごす様子が微笑ましく、また北海道の食文化を垣間見ることもできる。たまに単身赴任から帰宅する父のエピソードも心温まる。
贈りものやラッピングのアイディアが詰まった1冊。送る相手やシチュエーションを考え、その人に向けて最適なプレゼントを選ぼうとする心意気がとても素敵。作者の杉浦さんのセンスがとても好みで、本を読むたびに気になる店や食べてみたいものが増えるので困る。
作者の藤沢さんとおとりよせの妖精さんが、気になるおとりよせを1品ずつ食べていくイラストエッセイ。どのページの食べ物もとても美味しそうに描かれていて、気になるお店がどんどん増えていく。銀座菊廼屋の冨貴寄やSIZUYAのあんぱん、エレファントリングのバウムクーヘンが気になった。