デアゴスティーニより2022年1月11日に創刊された「古畑任三郎DVDコレクション」全25号。隔週で1号ずつ発売され、約1年の時を経て完結しました。
さて、このコレクションはほぼ全ての放送回を網羅していますが、最終号である25号だけが異質。主人公である古畑任三郎を田村正和さんではなく山田涼介さんが演じているためです。
古畑中学生の見どころ
2つの謎
犯人は誰か?
古畑任三郎といえば、序盤に犯人が殺人事件を起こし、捜査員として臨場した古畑がその犯人をじわりじわりと追い詰めていくのがお決まりの展開。これは「倒叙」といい、犯人が予め示されているタイプのミステリです。
しかし、今回は、事件の犯人が予め示されないため、視聴者は古畑と一緒に犯人は誰か考えながら見ることが出来ます。勘のいい方はキャスト一覧をあまり良く見ないように。
「影響を受けた人物」は誰か?
シリーズ他作品同様、当作の冒頭にも古畑任三郎(田村さん)が登場するオープニングがあります。そこで、田村さん演じる古畑は「自分には多感な時期に影響を受けた人物がいる」ことを語ります。当作に登場する関係者の中で、後の古畑の人生に大きな影響を与えた人物は誰なのか?そちらも推理しながら見る楽しみがあります。
終盤、その人物が颯爽と〇〇〇で去っていくシーンは必見です。
少年時代の古畑任三郎
仕草・口癖
中学生の古畑は、一見すると現在の姿とは全く別物に思えますが、物語が進むにつれて何気ない手の動きや表情、話し方などに「見覚え」を感じる場面が徐々に出てきます。その細かい共通点を見つけながら視聴するのも面白い。
個人的には、窓ガラス越しに向島くんの部屋を覗く目の動き、鏡を見て絶叫した時の手の動き、教頭先生を脅かそうとする顔が好きです。
ホームズへの憧れ
中学生の古畑の愛読書はシャーロック・ホームズ。新潮文庫版をいつでも持ち歩き、身の回りで謎を見つけるとすぐにホームズの短編と結びつけてしまうほど読み込んでいます。
冒頭で、花壇荒らしの疑いをかけられた向島くんを推理の力で救うシーンはもちろん、中盤、母親が連れてきた客に対して、ホームズお馴染みの初対面の人物への洞察力を発揮し、激怒させてしまうシーンも必見です。
友人・向島くんとの関係
転校先で初めてできた友人・向島音吉。都会的で風変わりな古畑のワトソン役となる彼ですが、その人の良さから、古畑にややこき使われてしまっています。
意味もなく木に登らされたり、危険な場所へ先に行かせたり、用済みになるとさっさと帰るよう促されたり……なかなか不憫です。
ちなみに、彼は「古畑任三郎」本編にも登場していますが、現在軸に繋がる古畑中学生でのラストシーンがとても良い。
母親との関係
村に唯一のスナックで働く古畑の母。家にはあまり帰って来ないようで、息子のことを「いい男」「賢い」と評しながらもかなり放任しています。だからこそ、今回の物語のように夜に出歩いて数々の冒険が出来たのですが(向島くんは外出するのにも苦労している)、一人の家に帰りたがらない姿、最後まで母親に振り回される姿を見ると、何だか切ないものがあります。
第25号の収録内容
DVD
ケース入りのDVDです。第25号には「古畑中学生」のみが収録されています。ちなみに、パッケージやDVDのレーベル面にも古畑任三郎(田村さん)の姿が。
冊子
A4版の冊子は全10ページ。映画のパンフレットのような内容です。ページの内訳は以下のとおり。
- 目次:1ページ
- スタッフ&キャスト:1ページ
- ストーリー:1ページ
- プロダクションノート:5ページ
- 三谷幸喜シアター:1ページ
スタッフ&キャスト
脚本の三谷幸喜さん、演出の河野圭太さんと、古畑中学生に登場するキャストが掲載されています。
余談ですが、山田涼介さんの出演作がかなり詳細に、かつ最新作まで記載されており驚きました。ほぼ全て書いてある。
ストーリー
話のあらすじと相関図。個人的には、オープニングの古畑(田村さん)の挨拶が全文掲載されているところが好きです。また、角度は違えど同じポーズをしている2人の古畑任三郎の写真が掲載されているのも嬉しい。
プロダクションノート
制作秘話や撮影裏話など。最後には脚本の三谷幸喜さんのメッセージもあります。
個人的に面白かったのが、本編で古畑の母が向島くんにかけたある一言についての記事。あまり似ていない親子だなと思っていましたが、根本的には似た者同士なのかもしれません。