【本格ミステリ】名探偵が皆を集めて「さて」と言い出す推理小説【おすすめ】

本格ミステリが好きです。

何を以って「本格ミステリ」とするかについては諸説ありますが、個人的には江戸川乱歩の定義が分かりやすいかと思います。

「主として犯罪に関する難解な秘密が、論理的に、徐々に解かれて行く経路の面白さを主眼とした小説」

殺人事件でも何でも構いませんが、超常現象や偶然ではなくあくまで論理的に、謎が解かれていく過程を楽しむ形の小説です。

その中でも、いわゆる「名探偵」と呼ばれる、変わり者でとても頭の切れる人物が登場し、物語の終盤で関係者が一堂に会する中、論理的な推理を語りつつ犯人を名指しする場面がたまらなく好きです。あまりに好きすぎて、その部分だけ何度も何度も読み返しています。

さらに付け加えると、名探偵が犯人であるための条件を挙げつつ、消去法でじわりじわりと容疑者リストを削っていくタイプの作品だとなお良いです。読み進めているうちに、自分もまな板の上に乗せられているかのようなスリルと臨場感が味わえるからです。

もし、これを読んでいるあなたが私と似たような好みの持ち主であった場合。

好きな本格ミステリを3つ挙げるとしたら何ですか?

僭越ながら私の選んだ3冊を以下に載せておきますので、ご自身のものと見比べて楽しんでください。何を選んだのか物凄く気になる。

また、あなたが、このようなジャンルの漫画やアニメに関心はあるけれど、本はあまり読んだことがない、という場合。

以下の3冊(出来ればシリーズ丸ごと)是非読んでみてください。

きっとあなたも好きだと思います。

「女王国の城」有栖川有栖

探偵・江神二郎(20代後半の大学生)が、推理小説研究会(EMC)の愉快な後輩たちと共に事件に巻き込まれるシリーズものです。穏やかでミステリアスなお兄さんである江神さんは勿論のこと、4人の後輩たちも含めた全員が魅力的なキャラクターであり、彼らの掛け合いや推理合戦を延々とただひたすら聞いていたい。直球の本格ミステリである長編、日常の謎を通してEMCの大学生活を微笑ましく垣間見ることのできる短編…好きすぎて語り切れない思いがあります。

このシリーズは長編の全作に「読者への挑戦」が入っています。作者のデビュー作である1作目や、本格ミステリの傑作として取り上げられることの多い2、3作目を差し置いてなぜ「女王国」をここで選んだかというと、容疑者全員が一堂に会した中での消去法による謎解きが先述した私の好みのど真ん中だからです。

また、この物語では、そもそも殺人事件とは別の部分で容疑者全員が共謀してあることを隠蔽しており、その上、頼れる江神さんまでもが何かを隠しています。序盤はEMCの楽しい旅行記と見せかけて、伏線は至るところにあります。初めて読んだ日からもう15年近く経ちますが、すべてが繋がった瞬間のあの爽快感が忘れられません。

「死刑囚パズル」法月綸太郎

※短編集「法月綸太郎の冒険」に収録

探偵・法月綸太郎(推理小説家)が、主に警視庁の警視である父親から持ち込まれた難事件を解決します。売れない小説家の綸太郎は、締め切りに追われているかと思えば、図書館司書の沢田さんにデレデレとしているなど、推理マシーンのように見えてなかなか人間味があり、憎めないキャラクターです。また、綸太郎が父親である法月警視に敬意を払いつつも、自宅で老いを感じる姿を垣間見るたびにしんみりとしている場面も好きです。疲れた父親の機嫌を取って事件の話をして貰おうと、風呂を沸かしたりコーヒーを入れたり冷凍ピザを温めたり…末永く仲良く暮らしてほしい。

切れ味の良い短編が多く、何度も読み返している大好きなシリーズですが、その中でもお勧めしたいのが「死刑囚パズル」。死刑執行直前の死刑囚が何者かによって殺害される、という動機が気になる展開ではありますが、まずは閉じられた刑場で容疑者全員が一堂に会した中での消去法による謎解きを堪能してほしいです。当然のことですが、犯人の特定に動機は一切関係がありません。

「水族館の殺人」青崎有吾

探偵・裏染天馬(高校2年生)が、身の回りで起こる殺人事件の謎を(警察からの謝礼目当てで)解決します。アニメオタクの彼は飄々とした一匹狼で、淡々としながら学校に住み着くなどの奇行も多く、ヒロインの柚乃が振り回されつつも何となく目を離せないでいる気持ちがよく分かります。また、本人は至って興味がないようですが、彼の高校生活は何故か綺麗どころの女子に囲まれがちです。無欲の勝利。

このシリーズも長編の全作に読者への挑戦が入っていますが、例によって解決編で容疑者が一堂に会する2作目を選びました。バケツとモップの手がかりから犯人の行動をトレースした上で、それが可能な人物を消去法で絞り込んでいく解決編はとても読みごたえがあります。被害者は犯人によって巨大水槽に落とされた結果、サメの餌食になってしまいますが、その描写が単なる「小説映え」で終わらなかったところも好きです。